『ドラえもん』の「ドラえもんだらけ」は、2時間ずつ違う時間軸を生きる5人のドラえもんが、のび太の宿題を共同で行なうという目的のためそれぞれが同じ時間を何度も反復するという、変則的な時間ループものです。この錯綜した時間ループのアイデアを、勢い抜群の傑作スラップスティックギャグに昇華しているところが、読むたびに天才的だなと感じます。
まあ、『ドラえもん』という作品自体が、のび太たちがずっと小学生のまま何度も何度も春夏秋冬を繰り返すというループ構造を持っているわけですが…。これは、ここで言う時間ループモものとは別次元の問題ですね(笑)
こうした構造を持った作品で国民的に有名といえば、『ドラえもん』のほかに『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』があります。
『ちびまる子ちゃん』の初期の話に、作者の言葉として「新学期になったのに、まるちゃんは今年も3年生 なぜって3年生がカワイイから作者がかってに進級させなかったのです(サザエさんをお手本にしました) まるちゃんはずっと3年生だよ よろしくね!!」と書かれていたことを思い出しました。まさにそういうことですね(笑)
藤子F先生も、ある人から「『のらくろ』の失敗は、毎年ランクが上がったところにある、と言われていますよね。のび太君は、全然進級せずに、永久にあのような形でこれからも続けるつもりですか」と質問されたさい、「ええ、そのつもりです。漫画が始まった時のままで年齢はストップ。その中で何度もお正月を迎えて、何度も夏休みを迎えるんです」と答えておいでです。(『ドラえもん研究 ―子どもにとってマンガとは何か―』南博編、ブレーン出版、1981年)。